【感想】中山七里「境界線」(NHK出版)

 早くも2021年(令和三年)と年が改まってから半月が経っております。


その間にも緊急事態宣言が出ており昨年からのコロナ禍が全く落ち着いてない。


ただ、前回と違い私自身も含めての恐怖心は減ってます。軽んじるわけではないが、1年近く経っているのにいまだに感染者数をメインに報道し煽っているようにしか感じられない。

(重傷者と死亡者が肝心だと思うがそちらの数だとインパクトが小さく、数字が大きく見える感染者数で報道したいというエゴに見えてしまう。これは都道府県知事が記者会見するときも同じように感じる。 全部を見てるわけではないので、やはりあくまでニュース報道という狭い範囲になってしまう。完全に誘導されてますね)


GoToトラベルを使っての旅行も予定していましたが、見事に停止期間にぶち当たったので日帰りか中止にするかな、と思ってます。本当に宿泊施設や観光業の方はたまらんと思いますね。


話が暗くなりましたが、年始一発目の本もちょっと暗め(?)の本です。


中山七里さんの「護られなかった者たちへ」という本の続編らしいですが、「護られなかった者たちへ」自体を読んでないので前との繋がり等は全くわかっておりません。完全に「境界線」を単独で読みました。


あ、「護られなかった者たちへ」は佐藤健さんと阿部寛さんで2021年秋映画化されるとのことです。今年公開ですね。本はまだ読んでませんが、もちろん観に行きます。


Twitterには書きましたが、佐藤健さんの大林組のCMかっこいいですねー。「MAKE BEYOND」のやつね。佐藤健さんは出ておられるテレビとかほとんど見たことなかったので全然興味なかったんですが、昨年超ベタにも「恋はつづくよどこまでも」を見てしまい、『メッチャ男前やんけ』(あ、容姿も役柄もね)と一気に勝手ながら個人的評価上げておりました。そんな中でまたもや大林組のCMで『メッチャかっこええやんけ』と改めて魅入っておりましたね。


はー、佐藤健さんで超余談に入っていました。あ、阿部寛さんも好きですよ。阿部寛さんは前から見ているので数も多いし、それこそ「はいからさんが通る」も見ましたからね! 「TRICK」の上田教授は最高でしたし本も買いましたよ。最近だと「下町ロケット」ですかね。あとは東野圭吾さんの加賀恭一郎もよかったですね~。映画「祈りの幕が下りる時」もよかった。そういや、「疾風ロンド」も見たなー。 あ、余談のほうが長くなっている…



舞台は、宮城県で東日本大震災に何かしら人生を狂わされた人々が取り上げられている話です。


自殺と思われる事件と殺人事件と思われる事件の2件の事件を刑事が追っていくというのが主軸のストーリーで、その主役でもある宮城県警の刑事、笘篠誠一郎も東日本大震災に被災し家族を失っているという背景を持っています。今回は東日本大震災後、7年間行方不明だった奥さんの死体が発見されたというところからスタートしているので、導入の惹きは強かったです。


そこから奥さん絡みの事件を追っかけていく中で2件目の殺人事件が発生し、2件を絡めての捜査になっていきますが、その主軸とともに途中で他人物の別物語も入ります。

そっちも痛いけどいい話。正しい正しくないという話ではなく、自然は本当に不条理で一瞬の出来事で人の人生を変えてしまう。


今のコロナ禍も一瞬ではないかもしれないが、明らかに人の人生を変えていっている。


そして、どんなときでも人の数だけ人生があり、物語があるということを感じさせてくれます。単に事件を追うというミステリーではなく、別物語で人としての生き方などを感じさせてくれる深みを与えてくれている話になっています。


事件自体のドンデン返しなどはないので、謎解き重視の方には物足りないかもしれませんが、ストーリーを味わうという点では私は結構好きな話でした。ひねりを利かすことが多い中山七里さんの他の作品とは違い、結構真正面な内容だな、という感じです。その分、人物をしっかり描かれているので意外性のないラスト(ラストシーンも超ど真ん中)ですが、読後の満足感は高かったです。


タイトルの「境界線」というのも最後まで読めば超納得(というか私でもわかりやすい)タイトルになっています。


本当に中山七里さんの筆力は圧倒されますが、今回も2日で読了してしまいました。いつもながら一気読みです。いやー、300ページあるのでそこそこの厚みですが面白いです。特に後半から一気に人間ドラマを味わえる内容になっています。


順番逆になりますが「護られなかった者たちへ」も楽しみになってきました。

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