【感想】中山七里「夜がどれほど暗くても」(角川春樹事務所)

中山七里さんで連発ですね。

中に入っていた折込チラシ(というのか?)読むと中山七里さんの作家生活10周年を記念し2020年は毎月刊行というすごい年なんですね。そんなときにコロナが来るのもすごい年ですが。。。

先ほどの「騒がしい楽園」のすぐ後くらいに読んだ記憶があります。(それでも数ヶ月前・・・)

「騒がしい楽園」とは全く舞台も内容も違う。この振り幅の広さが中山七里さんの魅力だと思います。個人的には御子柴礼司シリーズが好きですが、岬洋介シリーズといったキャラの振り幅も本当に広い。この書き分け力って半端ないですよね。

そのため、今、個人的には中山七里さんは新しいのが出たらまず読みたい作家さんの一人ですね。(今年は多くて追いつけてませんが追っかけます)


「夜がどれほど暗くても」は、ちょうどコロナ前でちょうど某俳優さんが不倫で滅多だたきにあっていたときだったので、個人の話にそこまで叩かなくてもいいのに、って思っていたときでした。(清廉なイメージとか違うってこともあったようですが、イメージと実態なんて違って当たり前ですしね~)


この話は、週刊誌の副編集長が主役で、芸能人を追っかける側(暴露しまくる)だったのが、自分の息子が殺人容疑者になって自殺。反対に取材される側、責められる側に立つという役が180度変わるところが味噌かなと。


話自体は結構平和で、タイトル通り。ただ、途中までは加害者家族の取材される側の辛さにクローズアップされていて、中山七里さんの得意(?)なところでなかなか読んでいても痛いし重いが考えさせられる内容。簡単に人を断罪する恐ろしさと、集団の怖さ、あとは匿名性の怖さも感じられます。

マスコミ報道に乗っかってTwitterなんかで簡単に攻める(責める)のももっと個人責任意識が必要なんだろうなと思いつつ自分も軽く発信しているよなと。

そもそも、こんな個人的意見で著作についてよかった、イマイチだったなんてすっげーおこがましい話。

それでも、自分で著作を創作するような力がないと、著作に乗っかって自分の考えを表したいというのが人間の欲望なんでしょうか。


また、逸れましたねー。いつもどおりですねー。


まぁ、途中までは主人公である編集者の葛藤についての楽しさを味わえます。途中からは謎解き面が主になっていくのと、被害者家族との交流がちょっと平和すぎる面はあるかなー、という感じ。そこは好き嫌い話ですね。

私はラストは良かったと思うんですが、やりとりが結構スムーズに行ってる気はしたかなと。ページの関係などもあったんだとは思いますが。

全く設定や内容も違いますけど「騒がしい楽園」よりこちらのほうが楽しく読めました。

次はこれよりもっと面白いのかなー。楽しみです。

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